北海道の人気ご当地コンビニエンスストア「セイコーマート」のプライベートブランド(PB)商品を、大手ドラッグストアチェーン「ウエルシア」など道外の小売店でも見かける機会が増えました。セイコーマートを運営するセコマ(本社・札幌市)が道外にも商品を卸す外販事業に注力しているためです。同社執行役員で広報部部長の佐々木威知さんにその理由についてオンラインで聞くと、北海道への熱い思いが伝わってきました。
2015年に外販部門を都内に開設 「北海道を豊かにするため」
――セコマさんが外販事業に本格的に乗り出されたのはいつからでしょうか
「2015年に外販専門の部署を東京都内に開設してからです。当時の赤尾昭彦会長と2人の営業担当者が常駐していました」
――会長直々に東京の営業活動に乗り出されたわけですね
「北海道の食は『良質でおいしい』イメージを持っており、それ自体がブランドです。セコマブランド商品の特徴は、北海道の産品を活用して北海道の工場で製造しているものが多く、地域の方々に消費して頂くだけでなく、道外や海外へ販路を拡大することで、北海道の食をPRしブランド価値向上に努め、同時に生産者や地域の工場に雇用も含めた経済循環を目指す取り組みです。一言でいうと北海道を豊かにしたいという想いの取り組みです」
――外販事業の強化にあたって新たにブランドも作られていますね
「はい。2016年には製造するブランドを『Seicomart(セイコーマート)』やその他のブランドから「Secoma(セコマ)」に統一し、セコマブランド商品として小売事業と分けることで、小売店様にも販売しやすいブランドの育成に取り組んでいます」
――それで商品パッケージには「セコマ」と書かれるようになったのですね
「チェーン店名と同じブランドを小売店様が扱うことに抵抗感があると考えて、小売りの新たなブランドを立ち上げました。我々としては、セイコーマートのことを知らない方にも『セコマという良い北海道の商品がある』と認識してもらうことを目標にしています」
――ウエルシアさんに商品について聞いたところ、同じような認識を持たれていました
「うれしいですね。最近では色んなチェーン店さんからもセコマブランドを評価、認知いただけていると感じています。セコマの商品はこだわりを持って育てていますから、発売期間は短い流行りものではなく、定番として愛され、産地の地域経済を豊かにできるような商品を作りたいと思っています」
地域振興の願いを込め、産地名を商品に
――先ほども「北海道の食をPRしブランド価値向上に努め、同時に生産者や地域の工場に雇用も含めた経済循環を目指す」というお話がありましたが、具体的にどのようなものでしょうか?
「地域の特産品を使い、特徴ある商品づくりを地域でしていくという事です。例えば、(北海道北西部に)増毛町(ましけちょう)という町があって洋なしが名産なのですが、それを使った洋なしシャーベットが最近登場しました。商品にも『増毛町産』と入れています」
――なるほど。オホーツクの滝上町(たきのうえちょう)産ハッカを使用したミントハイボールも、余市町産の完熟トマト酎ハイも産地が入っていますね
「商品開発は北海道の産物の品質の高さを知って頂くと共に、町名をパッケージに明記することで地域振興にも取組んでいます。地域外の方にその場所に興味を持ってもらうだけでなく、産地の方にも地元には誇れる商品があるということを感じてもらいたいと思っています」